あとでスッキリする泣き方と、スッキリしない泣き方のちがい

失恋などで、泣いても泣いてもまだ泣き足りないほど、繰り返し繰り返し泣く人がいる。
そういう人は、何度、励ましても、どんなにやさしい言葉をかけても、効果がないように見える。

泣かない人にはとても理解ができない。

それとは反対に、それまではクヨクヨしていた人でも、周囲の人のある一言で号泣し、その後なにごともなかったかのようにスッキリした表情になり、もう悩まなくなる人もいる。

このちがいには、さとり・非二元の理解に大切なヒントがある。

同じことで何度も何度も泣く人は、自我で泣いているので、自我があり続ける限り、その苦しみ、悩みは同じつらさで続く。そのため、どんな言葉をかけても、どんなにやさしく接しても、自我が強化されるだけで、なんの解決にもならない。
恐ろしいことに一歩まちがえば、自我の地雷を踏み、「言っていいことと悪いことがある」という定番の怒りで、自我がなくなるまで恨まれることもある。一般に自我は生涯もちつづけることが普通であるので、一生恨まれることを意味する。

それとはちがい、あとでスッキリする泣き方は、苦痛の原因の自我がシッポ巻いて逃げた状態、お手上げで消えた状態である。その自我が消える直前に、その自我の崩壊の衝撃で号泣するが、それはその自我の最期の叫び声であり、出し切って消える。

人間はいくつもの自我をもち、それを切り替えて自尊心を維持するが、ひとつの自我がお手上げになったとき、その自我がどうしたらよいのか苦痛を訴え始め、日常の集中力を掻き乱し、失恋などが原因で他のことも手につかなくなる。
そのとき、その自我は「自分は全力を尽くした。自分は悪くない。それなのにどうしてこうなってしまったのか」という苦しみを訴えるのが常である。自分には原因がなく、自分以外のものに原因がある証拠を見つけないと、苦しみは続く。

恨まれる一言とは、ありがちな正論でわかったような言い方のことである。
もうひとつの、恨まれず、本人は号泣ののちスッキリして、ときには感謝される一言とは、本人が正しいと思っていることを、本当は本人が自分で正しくないと思っていて、それを気づかせた一言である。
自我は自分が正しいということにしたいが、所詮、脳が作り出したバーチャル自分である。自分が知らないことは知らないし、知っていることだけでよい方法を考えている。だから、そこに必ず限界がある。
それでも、矛盾くらいは本当はわかっていて、その矛盾を避けて思考している。いわゆる、「自分は正しいということにしたい」という、自分で自分にしてしまう言いくるめ状態である。

その言いくるめ状態を、本当はまちがっていると自分で気づいているために、自我はわざと避けて思考する。それは無意識におこなわれていて、本人ではなかなか気づけない。それを気づかせてあげるのである。

すると、本人は本当はわかっていたのだから、「本当はわかる自分だ」という自尊心を保ったまま、「こんな簡単なことに気づかなかった自分」に笑ってしまう。自我が最期のエネルギーを放出して号泣したあと、なにごともなかったように明るくなるのは、この現実を受け入れたからである。

そして、もっとも肝心なこと。それは「もう同じ自我には戻らない」
理解した本人は、昔の自分にはもう恥ずかしくて戻れない。

したがって、スッキリしない繰り返す泣き方は「自我泣き」と私は呼んでいる。
スッキリする泣き方は、アリストテレスが演劇学用語として「カタルシス」と呼んだ。浄化と訳す。スピリチュアルで癒しや昇華、アメージュでカルマ解除と呼ぶ。

多くの小説や漫画、映画などで、涙を誘うクライマックス・シーンである。
人間はそのとき、生まれ変わる。

さとり・非二元では、そのとき、さとり・覚醒が起きているという。それを恩寵(グレイス)と呼ぶ。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

この著者の最新の記事

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 2017-5-22

    心が騒ぐ……その理由

    受験の不安、就職の不安、告白の不安、プロポーズの不安、病気治療の不安など、重大な決断を迫られていると…

おすすめ記事

  1. 受験の不安、就職の不安、告白の不安、プロポーズの不安、病気治療の不安など、重大な決断を迫られていると…
  2. さとって、自分の自我がすっかりなくなると、自我で憧れていたり、ときめいたりしたものに、何も感じなくな…
  3. 多くの日本人にもっとも誤解された美しい言葉がある。 「お客様は神様です」 これは三波春夫…
  4. 昨日は覚醒前と覚醒後にある一時的な不安と怒りについて書いたが、それは「さとり・非二元に対する不安と怒…
  5. 人は覚醒前、あるいは、覚醒後の数日、数週間、数ヶ月など、人によって異なるが、一時的に自分自身の方向性…

最近のコメント

カテゴリー

ページ上部へ戻る