情性欠如の人はなぜ怒るのか

「情性欠如」を理解すると、静的気質の人々がなぜ怒りっぽいのかもわかるようになります。

再度、Wikipediaから引用いたします。

人間性欠落者: ここで述べる人間性とは同情、良心、羞恥のような人間に固有の情動的能力を指しており、これはその能力が欠如している類型である。したがって、この類型は自己の危険や苦痛だけでなく他人の不幸に対しても情動的な関心や反応を示さない。

クルト・シュナイダー – Wikipedia

「人間性欠落者」とは「情性欠如者」と同じ意味です。

このタイプの興味深いところとして、「自己の危険や苦痛」にも情動的な関心や反応を示さないことです。
一般的に自己中心的な人とは、自分の快楽のためや、自分の苦痛を避けるために、他者の苦痛を顧みないことと考えられていますが、情性欠如者は自分の快楽や苦痛についても無関心であることに特徴があります。

これはかつて私のセミナーで、相手の身になって考える発想がない分類の性格グループ「静的気質」に気づき、彼らに「他者の身になって考えることがない」と指摘したほか、「未来や過去の自分にさえもどんな気持ちになるか想像していない」と伝えたことがあります。あとで後悔すると簡単にわかるようなことを平気でするので、自分自身のためにもそれをやめたほうがいいと諭したつもりでしたが、その人はポカンとした顔をして、まったく理解していないようすでした。
私はこのとき理解しました。「人の身になって考えられない人は、過去の自分自身の気持ちも記憶できないし、未来の自分自身の気持ちも想像できないのだ」と。一言で表すなら「どんな気持ちかを一切想像できない」という言葉に帰することができます。

ではそれがなぜ「怒りっぽくなる」かということですが、「たった今、結果がどうなったか」に一喜一憂し、思いどおりにならないことを憤慨することで思いどおりに相手を動かそうとするからです。そうすることで自分が周囲からどう思われるかを想像していません。「想像していないからといって、怒ったら嫌われることくらいわかるはずではないか」とあなたは思われることでしょう。彼らの思考回路をここでシミュレートいたしますので、想像してみてください。

情性欠如者の言い分(思考回路)シミュレートなしバージョン

情性欠如者がコミュニケーションで怒りの感情を露わにすることを厭わない心境を、ここで再現いたします。
まずはB美目線で読んでみてください。( )の中はすべてB美の思考です。

A恵は、職場で同僚B美に仕事を手伝ってもらっていました。
「B美、ありがと~! こんな仕事、私ひとりでできるわけないよね。あの上司、サイテー!」
「A恵はがんばりすぎなのよ。困ったときは気軽に相談してね」
B美はA恵の仕事量を心配し、親身になって協力しました。

季節が変わり、A恵の仕事は落ち着き、B美の仕事のほうが忙しくなってきました。
B美は自分ひとりでなんとか切り盛りしようとしましたが、さすがに追いつかなくなってきました。
「ごめん、A恵、手伝ってくれない?」「私? なんで?」
B美は唖然としました。「A恵が困ったとき、手伝ってあげたじゃない……」
「彼と約束してるから、帰るね!」A恵は足早に退社しました。
B美は裏切られたように気持ちになりましたが、彼と大切な約束があるのだろうと思い、たまたまだろうと我慢しました。

翌日、A恵は何事もなかったように明るく出社してきました。
B美は出社するなり仕事の続きに追われます。
「A恵、今日は手伝ってもらえる?」
「ごめん! 今日も行かなきゃいけないの」
「いいよ、もともと私の仕事だし。仕方ないよね」
「B美、たいへんだね。ホント、あの上司、サイテーだよね!」
A恵の言葉に、B美は救われたような気持になりました。

結局、A恵が手伝ってくれることはなく、B美はひとりでなんとか乗り切り、仕事は落ち着きました。
あるとき、自分の忙しかった仕事のなかに、A恵担当の仕事が含まれていることに気づきました。
上司にミスがあったのかもしれないので確認してみると、上司はA恵に頼まれたからだと言いました。
「A恵が多くの仕事を抱えていて、B美に手伝ってもらっているので、調整してほしいと言われたぞ」
「A恵がたいへんだった時期はけっこう前で、今はまったく残業していません。A恵と相談してみます」
B美はA恵に確認してから、上司に報告しようと考えました。

翌日、出社してすぐにA恵に確認してみました。
「A恵の仕事が私の……」
「なんで上司に言ったの!」A恵の凄い剣幕にB美はたじろぎました。
「B美は仕事できるからいいよね! 私にどうしろっていうの? あなた何様!?」
「ごめん……、私はただ、A恵の仕事だったから……」
「誰の仕事かなんて、名前が書いてあるわけじゃないでしょ! 仲間だと思っていたのに、B美にそんなこと言われたくなかった!」
A恵はそう吐き捨てて去っていこうとするので、B美は咄嗟に謝りました。
「ごめん! 怒らないで……そんなつもりじゃないから……。A恵がたいへんだったときがあって、今回たまたま私がたいへんになっただけだものね」
B美は丸く収めようとし、A恵は不機嫌な顔で睨んでから去っていきました。
(どうしよう……、社内でこじれると、誰の責任かで問題になるかも……)

それからというもの、A恵はつっけんどんでした。
B美は自分の軽率な言動に後悔しながら過ごしていました。
自分が忙しくなっても、もうA恵には相談しませんでした。

1年ほど経った頃、A恵がミスをして、大量の仕事がA恵を残業に追い込みました。
「B美、助けて……」B美はA恵のことがかわいそうになり、手伝いました。
(これでA恵は私のことを少し見直してくれるかも)B美は期待しました。

情性欠如者の言い分(思考回路)シミュレートありバージョン

ここからA恵の思考をシミュレートして入れていきます。
先ほどとは反対に、( )の中はA恵の思考です。

A恵は、職場で同僚B美に仕事を手伝ってもらっていました。
「B美、ありがと~! こんな仕事、私ひとりでできるわけないよね。あの上司、サイテー!」
(B美は仕事が楽だから、たいへんな私を手伝って当然よね。私が悪いんじゃなくて、上司が悪いわけだし)
「A恵はがんばりすぎなのよ。困ったときは気軽に相談してね」
B美はA恵の仕事量を心配し、親身になって協力しました。
(B美はそんなに私と仲良くしたいのね)

季節が変わり、A恵の仕事は落ち着き、B美の仕事のほうが忙しくなってきました。
B美は自分ひとりでなんとか切り盛りしようとしましたが、さすがに追いつかなくなってきました。
「ごめん、A恵、手伝ってくれない?」「私? なんで?」(B美は普段から楽なんだから、自分でやればいいのに)
B美は唖然としました。「A恵が困ったとき、手伝ってあげたじゃない……」
「彼と約束してるから、帰るね!」A恵は足早に退社しました。(めんどくさっ! 彼氏のいないB美とはちがって、私は忙しいんだから!)
B美は裏切られたように気持ちになりましたが、彼と大切な約束があるのだろうと思い、たまたまだろうと我慢しました。

翌日、A恵は何事もなかったように明るく出社してきました。(昨日は楽しかった! 私は悪くないから、申し訳ない顔をしないようにしないとB美にしつこくされるわ)
B美は出社するなり仕事の続きに追われます。
「A恵、今日は手伝ってもらえる?」
「ごめん! 今日も行かなきゃいけないの」(ほら来た! うまく断らなくちゃ)
「いいよ、もともと私の仕事だし。仕方ないよね」
「B美、たいへんだね。ホント、あの上司、サイテーだよね!」(ここは上司のせいにして、私は悪くないってことにしておかないと)
A恵の言葉に、B美は救われたような気持になりました。

結局、A恵が手伝ってくれることはなく、B美はひとりでなんとか乗り切り、仕事は落ち着きました。
あるとき、自分の忙しかった仕事のなかに、A恵担当の仕事が含まれていることに気づきました。
上司にミスがあったのかもしれないので確認してみると、上司はA恵に頼まれたからだと言いました。
「A恵が多くの仕事を抱えていて、B美に手伝ってもらっているので、調整してほしいと言われたぞ」
「A恵がたいへんだった時期はけっこう前で、今はまったく残業していません。A恵と相談してみます」
B美はA恵に確認してから、上司に報告しようと考えました。

翌日、出社してすぐにA恵に確認してみました。
「A恵の仕事が私の……」
「なんで上司に言ったの!」A恵の凄い剣幕にB美はたじろぎました。(せっかく上司にうまいこと言って仕事減らしたのに、なんてことするの!)
「B美は仕事できるからいいよね! 私にどうしろっていうの? あなた何様!?」(私をバカにする気? 上司がB美のこと褒めてたから調子に乗っているのね!)
「ごめん……、私はただ、A恵の仕事だったから……」
「誰の仕事かなんて、名前が書いてあるわけじゃないでしょ! 仲間だと思っていたのに、B美にそんなこと言われたくなかった!」(私と仲良くしたいくせに意味わかんない)
A恵はそう吐き捨てて去っていこうとするので、B美は咄嗟に謝りました。
「ごめん! 怒らないで……そんなつもりじゃないから……。A恵がたいへんだったときがあって、今回たまたま私がたいへんになっただけだものね」
B美は丸く収めようとし、A恵は不機嫌な顔で睨んでから去っていきました。(ほらごらん、私と仲良くしたいんでしょ! もうそんなこと言わないでよね!)

それからというもの、A恵はつっけんどんでした。(B美は私と仲直りするために、何をしてくれるのかしら。何かしてくれるまで、怒ってるふりしなきゃ)
B美は自分の軽率な言動に後悔しながら過ごしていました。
自分が忙しくなっても、もうA恵には相談しませんでした。(私にびびっているのね。いい気味だわ)

1年ほど経った頃、A恵がミスをして、大量の仕事がA恵を残業に追い込みました。
「B美、助けて……」B美はA恵のことがかわいそうになり、手伝いました。(B美は私と仲直りしたいんだから、きっと引き受けてくれるわ)

「A恵の正当化」は成功か失敗か、次回続きを書きます。

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